Shopifyの代引き表示ルール設定:国・郵便番号・カート金額・顧客タグ
Shopifyで代引きの表示可否を国・郵便番号・カート金額・顧客タグごとに制御し、必要な場面だけに表示する方法を解説します。
目次
多くのShopifyストアでは、代金引換は最初、単純なオン・オフ設定として扱われがちです。全員に表示するか、完全に外すか。そのやり方は手っ取り早い反面、優良顧客を逃すか、避けられたはずのリスクを抱え込むかのどちらかになりやすい方法でもあります。
解決策は、代引きをなくすことではありません。表示される場所をコントロールすることです。たとえば、配送実績が安定している地域で低価格の商品を買う顧客と、初回購入で高額注文を行い、しかも配達失敗の履歴がある郵便番号の顧客とでは、状況がまったく異なります。常に代引きを表示する、あるいは一切表示しないという運用では、その違いを無視してしまいます。
そのためにあるのが、代引きの表示ルールです。単一のオン・オフではなく、国、ZIPコードまたは郵便番号、カート金額、顧客タグに基づいて、そもそも代金引換を選択肢として見せるかどうかをストア側で決められます。このチュートリアルでは、Progus COD Form & OTP SMSでそれぞれの設定項目をどう使うかを順番に解説します。
始める前に、混同しやすい2つの要素を分けて理解しておくことが大切です。表示ルールは、顧客に代金引換を決済方法として見せるかどうかを決めます。たとえば、特定の国、カート金額、または顧客に対してCODを非表示にするルールがある場合、その顧客はそもそも代引きのチェックアウト段階に進みません。OTP認証は別のレイヤーで、代引きを選んだ顧客がその段階に到達したあと、電話番号が本物かどうかを確認する仕組みです。誰に表示するかを決めるものではなく、すでに表示されている人の中から実在性を確認する役割です。両者は順番に機能します。まず表示ルールで対象を絞り、その後にOTP認証で残った注文を確認します。これらの仕組みが、悪質なリピーター向けのブロックリストとどう連携するかを含めた全体像は、Progus' COD fraud and return abuse playbookをご覧ください。このチュートリアルでは、表示ルールの設定に絞って説明します。
ステップ1:設定前にルール機能を有効化する
ルールビルダーは、有効化しないとルールを作成できません。Progus COD Form & OTP SMSでは、アプリのCheckoutセクションに移動し、どの配送レートをCODとして扱うかを選び、チェックアウトでCODを有効にします。この有効化が完了するまでは、ルール画面にはルール追加ではなく「configuration required」というメッセージが表示されます。
ステップ2:本当に必要な条件を見極める
ルールを作る前に、まず何の問題を解決したいのかを明確にしましょう。このアプリでは、単純なオン・オフではなく、国、ZIPコードまたは郵便番号、カート金額、顧客タグに応じて代引きの表示・非表示を切り替えられます。さらに、1つのルールに複数の条件を組み合わせることも可能です。
よくある出発点は次のとおりです。
- 高額注文の保護:カート金額が設定した上限を超えたら代引きを非表示にし、リスクの高い注文は前払いに誘導する。
- 郵便番号単位の除外:国内の主要市場では代引きを表示しつつ、配達失敗や返送が繰り返されている郵便番号では非表示にする。
- 信頼できる顧客への例外設定:顧客タグを使い、配送実績が良好なリピーターには、通常の制限があっても代引きを利用可能にする。
以下のステップ3〜5では、それぞれの条件を個別に説明します。すべてを使う必要はありません。ここで特定した課題に合うものだけを選び、契約プラン上アクティブルールが1つしか使えない場合は、必要に応じて1つのルールにまとめてください(詳しくはステップ7で説明します)。
ルールを作る前に、思い込みではなく実際のデータを確認しましょう。どの国、郵便番号、カート金額帯で代引きの配達失敗や不正注文が本当に発生しているのかを見ないまま設定すると、悪質な注文だけでなく優良顧客までブロックしてしまう可能性があります。問題のある箇所が特定できたら、広い制限よりも狭く絞った除外を優先するのが基本です。実際に問題がある郵便番号だけを除外するほうが地域全体を制限するより安全ですし、少数の悪い注文のために国全体で代引きを止めるより、明確な基準を超えるカート金額帯だけを制限するほうが適切です。
ルールビルダーではこのほかにも、割引の有無、注文重量、顧客の会員登録状況、注文回数、顧客メールアドレス、商品コレクション、カート内のギフトカード、日付範囲による予約・季節ルールなどの条件に対応しています。このチュートリアルでは詳しく扱いませんが、知っておく価値はあります。たとえば日付範囲の条件を使えば、特定のキャンペーン期間だけ代引きを制限できますし、注文重量の条件を使えば、価格ではなく配送の複雑さに応じて代引き可否を調整できます。
ステップ3:国と郵便番号の条件を設定する
国。もっとも基本的な条件です。配送網が安定していて返品対応もしやすい国内だけで代引きを提供し、海外注文は前払いにするストアもあります。逆に、前払いへの信頼やコンバージョンが低い市場でのみ代引きを有効にし、不要な市場では無効にしたいケースもあります。
ZIPコードまたは郵便番号。国単位の制御では大ざっぱすぎることがよくあります。同じ国内でも、配送の安定性、返送率、配送業者の対応範囲は地域によって異なります。問題が一部の郵便番号に集中しているなら、国全体を制限する必要はありません。既知の問題エリアだけを除外する、あるいは配達成功実績のある郵便番号にのみ代引きを許可するほうが合理的です。
国と郵便番号は、同じLocationカテゴリ内で設定します。つまり、ある国では代引きを許可しつつ、その中でも配達失敗が繰り返されている特定の郵便番号だけを除外する、といったルールを1つで作成できます。別々に2つのルールを用意する必要はありません。
一方で、アプリの不正対策エリアにも、郵便番号によるブロック機能があります。加えて、メールアドレス、電話番号、IPアドレスでのブロックや、一定期間内に同一顧客が行える注文数の制限も可能です。こちらは一般的な代引き表示の調整ではなく、既知の悪質ユーザーを狙って止めるための機能です。そのため、同じ郵便番号でも用途が分かれます。ルールビルダーでは広い意味での表示制御に使い、不正対策設定ではピンポイントのブロックに使う、という運用になることがあります。
ステップ4:カート金額の上限を追加する
高額注文は、代引きの配達失敗や受取拒否が起きたときの絶対的な損失が大きくなります。商品原価の露出、回収できない送料、失われる利益率のどれも大きくなるためです。よくある運用は、一定のカート金額までは代引きを許可し、それを超える注文は前払いに切り替える方法です。損失インパクトの大きい注文ほど、事前に決済を確定させる考え方です。
契約プランで使えるルール数が限られている場合は、これをLocation条件と同じルール内のOrder Details条件として設定します。無制限にルールを作成できるプランなら、別ルールとして分けても構いません。
ステップ5:信頼できる顧客やリスクの高い顧客に顧客タグを使う
国、郵便番号、カート金額は、ストアが購入者個人を詳しく把握する前に適用される条件です。顧客タグを使うと、実際にその購入者が誰なのかに応じてルールを変えられます。たとえば、代引きの受取実績が良好な顧客に付けたタグがあれば、他の条件に関係なく代引きを使えるようにできます。逆に、配達失敗や受取拒否のあとに付けたタグで、その顧客だけ今後の代引きを制限することもでき、他の顧客まで巻き込まずに済みます。
顧客タグは、同じルールビルダー内のCustomersカテゴリで設定します。ここには会員登録状況、注文回数、顧客メールアドレスの条件もあります。タグは制限のためだけでなく、例外設定にも使いましょう。広い制限ルールがある場合でも、信頼できるリピーターには代引きを維持できるため、見知らぬ顧客向けの対策でロイヤル顧客まで不利にしてしまうのを防げます。
ステップ6:表示条件と非表示条件の優先関係をテストする
1つのルール内で「show」と「hide」の条件を組み合わせると、アプリは警告を表示します。これは、ルールに固定の優先順位があるためです。"show" は常に "hide" より優先されます。つまり、"show" 条件に一致した時点で、"hide" が何を指定していても表示されます。
たとえば、特定の郵便番号では代引きを非表示にしつつ、[trusted-cod] タグが付いた顧客には表示するルールを作った場合、そのタグを持つ顧客は郵便番号が非表示リストに入っていても代引きを見られる可能性があります。これは意図的なら便利ですが、意図せず起きると想定外の挙動になります。"hide" 条件が効いていると思い込む前に、この組み合わせは必ずテストしてください。
ステップ7:公開後にルールを見直す
6か月前に配達トラブルが多かった郵便番号でも、今は問題が解消しているかもしれません。一度作ったきり見直されないルールは、「実際の問題に対応した設定」から「今は理由もなく顧客を制限する設定」へとずれていきがちです。導入時だけで終わらせず、定期的にルールの効果を確認する仕組みを作っておきましょう。
この機能はアプリ内でSmart checkout rulesとして表示され、確認・追加できるルール数はプランによって異なります。FreeとBasicではアクティブにできるルールは1つだけなので、見直しではその1つに適切な条件が組み合わさっているかを確認することが中心になります。StandardとPremiumではルール数が無制限のため、古くなったルールや、すでに不要になった重複ルールがないかを確認することが重要です。
よくあるミス
- ほとんど売れていない市場向けにルールを作り込むこと。 年間で数件しか注文がない国を制限するために設定工数をかけるより、国内や主要市場のルールを正しく整えるほうがはるかに重要です。
- 1つのルールに条件を詰め込みすぎること。 条件をいくつも重ねたルールは、想定外の動作が起きたときに原因を把握しづらく、保守もしにくくなります。無制限プランなら、シンプルなルールを分けて作るほうが管理しやすいのが一般的です。FreeまたはBasicのようにアクティブルールが1つだけのプランでは、影響の大きい条件だけを組み合わせた、焦点の絞れた1ルールを優先しましょう。
- モバイルでの確認を忘れること。 ルールで何を表示・非表示にする場合でも、最終的なチェックアウト画面がスマートフォンで正しく見えるかを確認してください。代引き比率の高いトラフィックは、モバイルで購入完了するか離脱するかが決まりやすいためです。
- ルールが実際に何をブロックしたか確認しないこと。 広い条件で代引きをひそかに非表示にしているルールは、影響を受けた注文を誰も見ていなければ、本来のコンバージョンを落としていても気づかれないことがあります。
設定チェックリスト
Smart CODルールがうまく機能している状態とは、次のようなものです。
- ルールが、どの市場や地域が危険そうかという推測ではなく、実際の配送データや不正データに基づいている
- 郵便番号の除外が具体的であり、地域全体をまとめて除外する代替手段になっていない
- 高リスクな注文金額帯に対してカート金額のしきい値が設定されており、その基準が勘ではなく実際の注文データに照らして見直されている
- 顧客タグが、リスクの高い顧客を制限するためだけでなく、信頼できるリピーターを守るためにも使われている
- 導入時だけでなく、定期的に誰かがルールの効果を確認している
まとめ
代金引換は、全面的に使うか完全にやめるかの二択である必要はありません。表示ルールを使えば、購入を迷っている顧客の後押しとして効果を発揮する場面では代引きを残しつつ、リスクが生じやすい国、郵便番号、カート金額帯、顧客履歴に対しては絞り込んで運用できます。
目指すべきなのは、代引きを珍しい決済方法にすることではありません。機能する場面では確実に使えるようにし、うまく機能しない場面では表示しないことです。もしShopifyのチェックアウトで代金引換を使っているなら、Progus COD Form & OTP SMSを使えば、そのルール設計を1か所で管理できます。代引きの表示ルールから、確認が必要な注文向けのOTP認証まで対応可能です。
よくある質問
代引きの表示ルールとOTP認証の違いは何ですか?
表示ルールは、国、カート金額、顧客タグなどの条件に基づいて、顧客に代金引換をそもそも見せるかどうかを決めます。OTP認証は別ステップで、すでに代引きを選んだ顧客の電話番号を確認する仕組みです。表示ルールで対象を絞り、OTP認証でその対象を確認するイメージです。
代引きは国単位で制限すべきですか? それとも郵便番号単位ですか?
リスクがどの程度集中しているかによります。配達トラブルが国全体に均等に広がっているなら、国単位のルールのほうが管理しやすいでしょう。一方で、問題が信頼性の高い国内の一部郵便番号に集中しているなら、郵便番号単位の除外のほうが、問題のない顧客まで制限せずに済みます。
代引きを完全にオフにせず、カート金額の上限だけ設定できますか?
はい、可能です。カート金額のしきい値は、表示ルールでも特によく使われる設定の1つです。しきい値未満では代引きを表示し、それを超える注文は前払いに切り替えることで、金額ベースで最もリスクの高い注文だけを事前決済にできます。
顧客タグは他の代引きルールより優先されますか?
自動的に優先されるわけではありません。顧客タグの条件も、ルールビルダー内では他の条件と同じく「hide」または「show」で設定します。そのため、優先順位も同じです。タグに基づく「show」条件と、別条件に基づく「hide」条件が同じルール内にある場合は、「show」が勝ちます。信頼できる顧客タグで、他条件に関係なく確実に代引きを許可したいなら、そのタグは「show」条件として設定してください。
1つのルールに「hide」と「show」の両方があるとどうなりますか?
アプリはこの組み合わせに警告を表示し、ルールには固定の優先順位が適用されます。同じルール内では、"show" 条件が常に "hide" 条件より優先されます。実際には、どれか1つでも "show" 条件に一致すれば、"hide" 条件があっても代引きは表示されます。そのため、"hide" が期待どおりに機能していると思い込む前に、この組み合わせは確認しておくべきです。
代引きの表示ルールは何件まで作成できますか?
FreeとBasicプランでは、同時に有効化できるルールは1件です。そのため、これらのプランでは、国、カート金額、郵便番号除外など重要な条件を1つのルールにまとめることが優先になります。StandardとPremiumではルール数が無制限のため、複数のシンプルなルールを状況別に分けて運用したいストアに向いています。